苦情処理マニュアル

1.マニュアルの主な目的

利用者が適切な介護サービスを選択するためには、普遍性、公平性、妥当性、専門性が必要であります。特に、介護サービスの内容や質が社会的に妥当であり、適切に評価されることが重要で、事業者は常にサービスの質を維持・向上させる責務があります。苦情は利用者の評価や意向を把握する重要な情報源であり、事業者にとってもサービスの質をチェックし、向上させる機会となるため、前向きに捉えるべきであります。

2.苦情処理に関する基本的な考え方

苦情処理では、利用者の意思と人格を尊重し、プライバシーを守りつつ、利用者の立場に立って対応します。

4.苦情への対応について

項目内容
優先対応苦情対応は最優先で行い、組織全体で取り組む。
苦情受付担当者と解決責任者の指定事前に担当者と責任者を定め、苦情が発生した際は迅速に対応する。
曖昧な返答の回避曖昧な返答やその場しのぎの回答を避け、言い訳や責任転嫁はしない。
誠意ある対応誠意を持ち、相手の話を真摯に聞き、否定せずに受け止める。
事実確認の徹底事実確認を十分に行い早合点や思い込みを避け、事実に基づいた対応を行う。
初期対応初期対応は慎重に行い、不快な思いをさせた場合は早めに謝罪する。
冷静な対応相手が挑発的であっても冷静に対応し、感情的にならないように努める。
内容確認の徹底相手の話が分からない場合は適宜確認し、話の腰を折らないように注意する。
確実な情報提供分からないことはしっかり調査し、確実な情報を提供する。
対応範囲の明示できることとできないことを明確に伝え、過大な期待を抱かせないようにする。
不当な要求への対応不当な要求には毅然とした態度で対応し、組織のポリシーを守る。

5.苦情の受付

(1)受付業務

  • 苦情申出人との面接等は、基本的には個室で行います。
  • 面接等は、職員2名以上で対応します。
  • 申出人の状態(認知症、精神疾患等)を踏まえ、状況を把握します。
  • 担当者以外の者が苦情を受け付ける場合は、内容を詳細には聞かず、速やかに担当者に引き継ぎます。

(2)担当者の業務

  • 苦情内容の詳細を確認します。
  • 苦情受付書に記録します。
  • 苦情内容に沿って、その事柄と直接かかわっている職員に確認します。
  • 関係職員からも、事実関係を聴取します。
  • 必要に応じて、関係機関等を活用します。
  • 苦情解決責任者に報告します。
  • 苦情解決責任者は、必要がある場合は、組織の代表者等に報告します。

6.苦情の解決に向けて

(1)解決案の検討

・苦情解決責任者は、内容及び調査結果に基づいて解決案を策定し、申出人と話し合い、解決に努めます。
・解決案については、必要に応じて第三者の専門家からアドバイスを受けます。
・円満に苦情解決を図るため、責任者は申出人に対し、適宜、検討状況を報告する。
・解決が不調な場合、自治体の定める委員会、もしくは国民健康保険団体連合会等の機関を紹介し、苦情解決に当たります。

(2)解決案の実施

  • 合意した解決案を、迅速かつ確実に実施します。
  • 解決結果を記録します。
  • 今後の業務改善に資すると考えられる場合は、カンファレンスや職員研修の場において、情報共有等を図ります。